2018.03.01 UP

【第1回】そのメリハリのある走りに驚愕!予土線の洗礼

便数の少ない予土線。といっても、北海道にある札沼線という路線の末端区間(終点となる新十津川駅の最終列車がなんと午前9時40分!)に存在する1日1往復!に比べるとまだ便数がある方かな…

鉄道の写真を撮ることを至極の活動としている鉄道ファンを「撮り鉄」と世間では呼んでいる。私もそのひとりだが、効率よく撮影するために、一本の列車を車などで追い回す「追っかけ」という手段にでる。

初めて車で追っかけ撮影をした約二十年前のこと。私はまだ二十代の若造だった。宇和島から江川崎間は元々宇和島線と呼ばれていた枝線で、古くからある路線。地形に逆らわないカーブや傾斜が多いことから、メチャクチャ速度が遅く、余裕で追い抜き、そして撮影することができる。

「こりゃ、窪川まで何度だって撮影できるな。」と若造は高をくくっていた。しかし、江川崎駅を発車した途端、併走していた普通列車の運転士がニヤリとこちらを見ると反撃とばかり、ノッチという車でいうアクセルを切り替えて、みるみる速度を上げてきた。不意を突かれ必至で後を追うが、あっという間に二条の尾灯が視界から消えてしまった。追尾不能。メインカットである四万十川を渡る列車を撮らえることなく完全なる敗北を期した。

これは江川崎から先が1947年(昭和49年)に完成させた新線区間であり、高速特急を走らせてもいいぐらいの設備と線形を持っているため。それを証拠に踏切が江川崎の手前から終点に近い、川奥信号所まで一切無く、高架と鉄橋、トンネルで四万十川をショートカットしているのだから追いつけるわけが無いのだ。それにしても85キロ以上で軽快にトバス古参気動車キハ32形ってこんなにヤレバできる子だったっけ。

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