- 2018.12.19 UP
【第4回】つかの間の予土雪景色を追う
今年も冬将軍の季節がやってきた
生まれも育ちも南国四国である私にとって、雪景色は憧れる。真っ白な風景の中を走る四国の列車、とりわけ雪のイメージのない予土線は撮影しておきたい路線のひとつだ。地元のハナシによると年に2、3度程度、宇和島から松丸駅辺りまで、高知側においては江川崎駅付近で年1度あるかないかで積雪があるという。
昨年は運よく弾丸低気圧が四国に掛かり、自分自身も四国にいた。間違いなく積もる土讃線や予讃線の伊予大洲の大洲城バック、立間~下宇和駅間の宇和海が望める山岳地帯にある法華津(ほっけつ)峠とライバルを差し置き、前夜から宇和島で張り込む。
予想通り夜中から降り出した牡丹雪が朝には一面の銀世界を作り出す。
日の出と同時に予土線へ出動するが、これが一筋縄には行かない。宇和島から予土線へ行くのに険しい上り坂があり、途中で通行止めや立ち往生したトラックなどによりなかなか沿線へたどり着けないのだ。行けたとしてもノロノロ運転。難なく走り行く予土線の列車。やはり列車は雪に強い。
雪の撮影はとにかく時間との戦い。陽が昇るにつれ、一晩かけて作り上げた銀世界は解けていくからだ。「雪列車は焦らず時間を取って腰を落ち着かせて構図を作り、追っかけることは考えるな。一本一景だよ。」有名な鉄道カメラマンさんから言われた言葉である。
さて、今期は予土銀世界、立ち会えるのだろうか。
坪内政美 つぼうちまさみ
鉄道カメラマン・ロケコーディネーター他
1974(昭和49年)9月9日生まれ 香川県高松市在住。
幼少のころからの乗り物好きが講じて、現職になる。特に鉄道の知識は幅広く、年がら年中車で全国を走り回っている。そのため観光地や珍スポットをはじめ、離島やさぬきうどんなどに詳しく、これらを生かしてテレビ番組などのコーディネーターも務める。最近では、地方私鉄のイベント企画やアドバイザーを勤める傍ら、地元四国では町おこし列車「どつぼ列車」などの主宰を行っている。いつでもどこでもスーツ姿で撮影するという奇妙なこだわりをもつ。