2019.07.31 UP

【第6回】予土線にドクターイエロー!

予土線でやりたいことが一つある。

「もう1両、鉄道ホビートレインを走らせたい。」

鉄道ホビートレインとは、予土線全線開通して40周年を迎えたことや前身路線となる宇和島鉄道開通100周年を記念して2014年3月15日にキハ32 3号を大改造した観光列車。第四代国鉄総裁を務め、新幹線導入に尽力された十河信二氏が愛媛県出身にちなみ、なんと初代新幹線0系を気動車で再現してしまった車両である。実は予土線利用促進対策協議会のアドバイザーに就任して間もないころ、JR四国さんも参加していた懇談会の席上で

「予土線に新幹線のプラレールみたいなものを走らせたら面白いじゃないか。」

と何気に言ったのが誕生のキッカケになったかは今となっては定かではないが、約半年後にJR四国さんから、ご提案されたのがこの鉄道ホビートレインである。

鼻の所は死角にならないようにメッシュになっている。

新幹線の特徴でもあるアレもちゃんと付いている。

改造費用は報道発表で約一千万円。特徴的な新幹線の団子鼻は再現したカバーを窪川側の運転台に取り付けており、新幹線同等のホイッスル(汽笛を)装着している。

この汽笛は運転士さんにお願いすれば、運行に支障のない程度で鳴らしてくれるのだ。一方、宇和島方の運転台は従来の顔にマーキングしただけという不思議なスタイルに。これは他の車両との連結ができるようにしているためで、逆にその姿がまた人気の的だ。

元々は左の車両を改造したもの。並ぶと全く違う車両に見える。

宇和島方になると元の車両だと、よく分かる。

登場して今年で5年目。すっかり予土線の顔として地元に定着している。それが分かるのが宇和島の夜。一昨年までのダイヤ改正までは鉄道ホビートレインが宇和島発の予土線最終列車を担っていたことから、「そろそろ最終の新幹線で帰るわー」と店を出るのが一時流行ったという。現在は宇和島発の始発列車に充当されているので、「朝一番の新幹線で行きます…」といわれているのだろうか。

デビュー前の試運転の様子。この列車は流し撮りが似合う。

さて、今年3月予土線は全線開通して45周年が経過した。

ここに一つの夢がある。最初に言ったもう一両の鉄道ホビートレイン。

しかもドクターイエロー号として走らせたいのだ。種車となるキハ32形は、まだまだ現役。また特徴となる団子鼻となる部品は動物との衝突による破損を見据えて実は予備品があると聞く。そう聞くと実現の可能性は充分にある!

本来のドクターイエロー同様、運用は流動的にして、いつ走るかは分からない。時には鉄道ホビートレインと途中の駅で行き違ったり、増結という形で繋がってみたり…同じ黄色をまとっているしまんトロッコ号と連結すれば、幸せの黄色い三重連…と夢は膨らむ限り。後の問題は資金だ!!


坪内政美 つぼうちまさみ
鉄道カメラマン・ロケコーディネーター他
1974(昭和49年)9月9日生まれ 香川県高松市在住。

幼少のころからの乗り物好きが講じて、現職になる。特に鉄道の知識は幅広く、年がら年中車で全国を走り回っている。そのため観光地や珍スポットをはじめ、離島やさぬきうどんなどに詳しく、これらを生かしてテレビ番組などのコーディネーターも務める。最近では、地方私鉄のイベント企画やアドバイザーを勤める傍ら、地元四国では町おこし列車「どつぼ列車」などの主宰を行っている。いつでもどこでもスーツ姿で撮影するという奇妙なこだわりをもつ。

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