予土線に乗って旅にでた vol.1

予土線2大ジオラマを見に行って、ジャンメンを食べに行った!

旅人・金澤万里子 岡村大介 / 文・やました あやこ / 写真・坪内政美

新緑の四万十川を走る鉄道ホビートレイン。
(土佐大正→土佐昭和間)

窪川・江川崎にある名物ジオラマ!シュールな新幹線?で出かけよう。

 新緑のまぶしい季節。予土線に乗って、旅に出ようと言い出したのは、高知県予土線活性化協議会のアドバイザーを務める「どつぼさん」こと鉄道カメラマンの坪内政美さん。その提案にひょこひょこと乗り気になって誘い出されたのは、協議会の事務局を務める役場職員のお二人とわたくしであります。
 4人旅の始まりは、協議会事務局のある四万十町役場。この庁舎の見所は、なんといっても線路をまたぐ跨線橋ならぬ“跨線国道”ですが、それよりも「鉄分の濃いものがある」とどつぼさん。なんと1階エントランスには予土線を再現しているジオラマが存在しているのです。正面入って、はい!すぐその横!跨線橋のある駅にNゲージが停まっています。ケースの脇のボタンを押し続けると、動き出しました!!どつぼさんいわく、ジオラマを楽しむ目線の高さは、「レール目線」。ちょうど床から1メートルくらいでしょうか。ちょっとかがんで見てみてください。トンネルから列車が出てくるところなんか、ワクワクしてみてしまいます。よく見ると、トンネル近くの山には「撮り鉄」と呼ばれる鉄道ファンがカメラを構えているようすも再現されています。予土線には欠かせない野生の鹿もホームで休んでいます。と、ここでどつぼさん、「さらに大きい予土線ジオラマがあるので見に行きましょう」と提案。

「四万十町役場」

〒786-0004 高知県高岡郡四万十町琴平町16-17四万十町役場1階
電話 0880-22-3111

窪川駅すぐ隣にある四万十町役場。その西館1階ロビーに設置されてる予土線ジオラマは土・日・祝でも見ることができ、観光案内も行っている。また、線路を挟んで左右に役場の建物があることから、ガラス張りの渡り橋が設置されトレインビューが楽しめる。予土線に乗る前にちょっと寄ってみて。

南国らしい窪川駅からさぁ出発。

 午前9時40分窪川発。0系新幹線を模した“日本一遅い新幹線゛こと「鉄道ホビートレイン」です。宇和島方面行きのため、後ろ向きで出発です。なんともシュール。この日は、連日の大雨で、四万十川の色は抹茶ラテのようになっていて、ご存じ沈下橋も橋桁が見えなくなってしまうほど増水している状態でしたが、車窓には新緑萌ゆる山々が広がり、旅を演出してくれるのでした。

85km以上で飛ばす四国の新幹線。
意外と速い…

 午前10時34分、およそ50分で江川崎駅に到着。歩いて10分の道の駅「よって西土佐」までやってきました。ここの2階にあるもう一つのジオラマは、なんと畳3枚分。十川の鯉のぼりも、沈下橋から飛び込む子どもも、鉄橋から見える三島の菜の花畑までも再現されています。よく見ると、宇和島駅では別れを惜しむ訳ありカップルまでいる~(※そのシチュエーションは妄想)。予土線の特徴的な川や山、自然豊かな景色とその沿線の風景がちりばめられています。「2年がかりで、予土線愛好家たちやJRの社員さんらといっしょに作ったんですよ。」そう、このジオラマには、どつぼさんと予土線をこよなく愛する人びとの思いが投影されているのです。役場のジオラマと同じように、スイッチを押すと一両の列車がとことこと走りだしました。われわれは、ジオラマを見ながら、この道の駅にあるケーキ屋さん、「ストローベイル山間屋」のこの季節限定のアスパラロールケーキなるおやつを味わって、再び窪川駅へ戻ったのでした。

せっかくなので、線路のメンテナンスをしました。やはり三畳分は広い。

道の駅「よって西土佐」

〒787-1601
高知県四万十市西土佐江川崎2410−3
電話 0880-52-1398  
営業時間 7:30~18:00
定休日 3月~11月は無休、12月~2月は火曜日(祝日の場合は営業)

2016年4月にオープンした高知県内で23番目となる道の駅。江川崎駅から徒歩10分。清流四万十川沿いにあり、四万十川で育んだ天然鮎が堪能できる鮎市場や西土佐の三間米をなど地元の食材がふんだんに食べられる西土佐食堂、新鮮な朝どれ野菜やお土産が並ぶ水々しい市場などが楽しめる。そんな道の駅の2階におよそ三畳分にもなる予土線大ジオラマが展示。ボタンで車両を動かすこともできる。

 旅においしい物があれば、それはもう幸せ。アスパラロールケーキで勢いのついた食欲に火がつき、旅のシメは「満州軒」のジャンメンと決まっていました。窪川駅から歩いて8分の窪川のソウルフードであります。4人はすでにこのジャンメンのとりこです。リピーターです。黄色い細麺に、卵を溶いたとろみのあるニラたっぷりのスープ。ほどよく辛く、めちゃめちゃ熱く、かき混ぜると現れるぷりぷりのホルモンを味わいながら、大汗をかいてスープまで飲み干し、無心になった4人旅でした。

「ストローベイルSANKANYA」

〒787-1601
高知県四万十市西土佐江川崎2410−3道の駅よって西土佐内
電話 0880-31-6070  
営業時間 10:00~17:00
定休日 3月~11月は無休、12月~2月は火曜日(祝日の場合は営業)

道の駅よって西土佐の中に店を構える地元のケーキ屋さん。小麦粉は国産、米粉は山間米の米粉を使い、季節限定のスイーツの開発は注目の的。テイクアウトもできるが、テラスで四万十紅茶ともとにアフタヌーンティーを楽しみたい。

満州ジャンメン普通盛は750円(左)と
スペシャルジャンメン(ホルモン多め)900円(右)。
ジャンハンもある。

「満洲軒」

〒786-0007 高知県高岡郡四万十町古市町1-19
電話 0880-22-0019
営業時間 11:00~21:30(オーダーストップ21:00)
定休日 日曜日

店の方も「創業は50年以上前かな?」というほど前から窪川の町で営んでいる庶民派焼肉店。豆板醤の辛さが程よく効いたオリジナルの「満州ジャンメン」がおすすめで、この味を求めて通い続ける常連は数知れず。鉄板で頂くホルモンと野菜と一緒に頼むとさらにハマッテしまうという。窪川駅から徒歩10分。