予土線に乗って旅にでた vol.3

「予土線3兄弟に乗ってみようとした…」編

旅人・岡田留美 立花 彩 / 文・やました あやこ
/ 写真・坪内政美

江川崎駅では、11時45分から5分間、
ホビートレイン同士が並ぶ。(江川崎駅)

今度こそは完全制覇!今度のゲストはすぺしゃるだー

 前回、「予土線3兄弟」なる3つの列車に1日で全部乗ろうとしたところ、次男の「かっぱうようよ号」が突然の車両点検とあいなり、急遽松山へ回送という事態に…完全制覇ができず!!しょぼぼーん。そして、今回いよいよ完全なるリサーチとダイヤとのにらめっこの上、リベンジ戦を決行することに!!しかも、今回は、どつぼさんこと鉄道カメラマンの坪内さんが出演しているNHKのラジオ番組「ラジオまどんな」のパーソナリティを務めている岡田留美キャスターが同行していただけることになったのです!!どうせなら、ラジオ用に録音もしてみようということになり、立花 彩ディレクターも同行です!!

この様子は、平成31年4月26日にラジオまどんなの人気コーナー「どつぼの鉄道見聞録」でも1時間ぶち抜きのスペシャル版として放送され、ラジオならではの予土線3兄弟の「音」をテーマにした切り口で、好評を博しました!

 4月のある晴れた日曜日、午前9時の宇和島駅。どつぼさんを筆頭に、岡田さん、立花ディレクター、そして私4人は、いよいよ出陣です。なんと岡田さんと立花ディレクターにとっては、初めての予土線!!3番ホームに入ってきたのは、ど派手なアイツ!前回乗ることができなかった次男の「かっぱうようよ号」です。赤と緑のツートンカラーの車両に描かれているのは、かっぱ、かっぱ、かっぱ!!予土線と大手フィギュア製造メーカー「海洋堂」がコラボした車両で、親かっぱと大量の子かっぱがまさにウヨウヨ!さっそく乗り込むと、すぐさま岡田さんたちは「かわいい~」といきなりテンションが上がっています。そうです、車内にはかっぱの世界を表現したジオラマがデデ-ンと座席の4分の1を占領しているのです。ジオラマの上段は、予土線が走る山里の風景。そして、下段はかっぱたちが生活をしている川の中の風景が広がっています。山里のかっぱは、妖怪たちとともに予土線に手を振っていたり、川の中のかっぱは家族と一緒に食卓を囲んでいたりと、かわいらしいかっぱの暮らしぶりをこっそりのぞいているようなジオラマなんです。さらに、そのジオラマの隣には、人間とほぼ同じ大きさの親子のかっぱが座っています!岡田さんたちが近づくと、突然かっぱが話しかけてきました!「はげーはげー」とか「土佐は鰹がうまいぜよ」とか。それはもう車内の注目の的です。思わぬユニークな車内に、岡田さんは「こんな列車があるなんて知りませんでしたー」とのこと。のっけから、うきうきしっぱなしのお二人です。
ロケをした日、予土線の沿線ではちょうど桜が満開でした。予土線の車窓からはあちこちで桜を見ることができたので、まるで花見列車。かっぱといっしょに花見ができるのも予土線ならではの楽しみかもしれませんね。

  • 宇和島駅頭上にはかわいい3兄弟のポスターが。

  • 乗り降りに便利なフリーきっぷでいざ出発です。

  • 約30近いレパートリーで話しかけてきます。

  いつのまにか愛媛と高知の県境を越え、およそ1時間ほどで四万十市にある江川崎駅に到着しました。到着するなり、どつぼさんが一言。「ここでかっぱの鳴き声を聞きましょう!」運転士さんはおもむろに運転席でなにやらごそごそ。立花ディレクターもこれは録音せねばとおもむろにマイクをスタンバイ。そして・・・「ひゅにょにょにょにょ~~~」。聞こえました!かっぱの鳴き声!!列車から聞こえてきた、なんともいいがたい奇妙な音。こんな仕掛けまであるんです、このかっぱうようよ号。私たち4人ともかっぱに会ったことがないので、この鳴き声がかっぱなんだなと、ぼんやり納得しながら駅からてくてく歩いて10分の道の駅「よって西土佐」で早めのランチタイムをとることにしました。この地区で年間50頭しか飼育していないというブランド牛、四万十牛の牛丼はどつぼさんの大好物なんです。そして、おやつには、私の大好物、鮎の塩焼き(しかも焼きたて)をむしゃむしゃ!山と川の予土線の恵みを堪能し、次なる列車、長男の「しまんトロッコ」に乗るため、再度江川崎駅に戻りました。

  • 四万十牛たっぷりの丼に驚愕!

  • 道の駅よって西土佐のテラスでいただきますー

「スーパーヨコヤマ(横山精肉店)」

〒787-1601四万十市西土佐江川崎2570-2
電話 0880-52-1229 営業時間 8:00~19:00(正月3が日のみ休み)

一般食品や雑貨を扱う田舎のスーパーと思いきや、年間50~70頭ほどしか飼育されない幻の「四万十牛」直売店。四万十牛丼をはじめ、四万十牛のメンチカツやハヤシライスなども販売しているので四万十川をながめながら食べるのもよし。予土線沿線の地元の人たち御用達の牧場直営の精肉店とあって、そのお肉のおいしさを一度味わうと通いたくなるほど。近くには、焼肉店もある。

「鮎市場」

〒787-1601四万十市西土佐江川崎2410-3(道の駅よって西土佐内)
電話 0880-52-1398
7:30~18:00(3~11月は無休、12~2月は火曜定休)

鮎、ウナギ、ツガニ、スッポン、ナマズなど四万十川天然の恵みを取り扱っている。炭火で丁寧に焼き上げた鮎の塩焼きは絶品。店頭では、季節限定の鮎コロッケやナマズのフライなども販売していて、店を素通りできないラインナップ。ふらっと立ち寄っても四季折々の四万十の素材を味わえるのがうれしい。

  • でたーどつぼさんの流し撮り!
    決まってます。

  • トロッコといえども結構速い!
    帽子は飛んでしまうよ。

 山吹色のボディーに、窓のない開放的な列車「しまんトロッコ」。春の四万十の風は爽快だな~なんて思いながら、ふと岡田さんたちを見ると、なにやらそわそわ。「ハゲ駅って本当にあるんですか」とのこと。先ほどのかっぱ親子がしゃべっていた「ハゲ駅」が気になって仕方ないようです。確かに乱暴な駅名ですよね。しかし、心配ご無用!江川崎駅の次がその駅なんです!トロッコ列車には窓がありませんから、通過する駅の看板もよく見えます。岡田さんよーく見ててくださいね。はい、ここ!「半家です!!」私たちは、しっかりとその駅看板を見ることができました。すると車内では、「漢字では「半家(はげ)」と書くんですが、「半」の横棒を上に上げると「平」になりますよね。実はこの地名には、その昔、平家の落人が隠れていたということから名付けられたそうですよ」とガイドさんが解説してくれました。岡田さんは、思わず「へえ~~なるほど~~」とうなずき、そわそわも解消されたようです。これでトロッコ列車を心おきなく楽しんで乗れるかなと思いきや、さらに岡田さんはそわそわしています。次はなんでしょう!?岡田さんの目線の先には、車内販売の「塩むすび」!!つやつやの白米を塩だけでにぎったこのおむすびは、トロッコ車内販売の一番人気!さずがお目が高い!!四万十川の雄大な景色をながめながら、おむすびをほおばるなんて、トロッコ列車の醍醐味ですからね。

結局、ランチ直後の乗車だったことから、塩むすびはあきらめたのですが、後日ラジオの放送では「満腹だったけど絶対おいしかっただろうな~次は絶対に食べる~!!」と岡田さんは話していました笑)

 食の誘惑もありましたが、私たちは無事土佐大正駅までトロッコ列車を楽しむことができました。そしてここから、次なる3男「鉄道ホビートレイン」に乗車するべく、宇和島方面へ戻ることにしました。半日はしゃぎすぎた私たちは、ガタンゴトンと心地よい揺れにぐっすり眠りこけ、務田駅まで帰ってきました。よくお遍路さんが利用するこの駅は、三間平野に吹き抜ける風が心地よく、私たちは仲良く並んでベンチに座っていました。するとそこへ、ついに来ました!「四国の新幹線」こと鉄道ホビートレイン」です。あの初代新幹線「0系」をモデルにしているのですが、“超特急”というよりは“超スロー”な1両編成のワンマン運転。車掌さんも乗っていませんよ!その短い新幹線を見るやいなや岡田さんも立花ディレクターも本日2度目の「かわいい~~」とのご発声!!見た目のウケもいいようです。この車内も座席の4分の1はショーケースが占領しています。私たちは、ちょうど四国ゆかりの特急列車や寝台列車、それにSLの模型がずらりと並ぶそのショーケースの前の座席に座りました。するとどうでしょう!ショーケースの向こう側には予土線ののどかな田園風景が見えます。模型越しに眺めていると、まるでその列車たちが走っているかのような錯覚になるのです。私たちは、それに気付くと思わず、模型と車窓をカメラにおさめてみようとスマホを取り出し、パシャパシャ。模型といえど旅情たっぷりの一枚が撮れたような気がします。いいね!予土線。インスタ映えを狙える車内スポットを発見することができました。

これはインスタ映え!鉄道模型が走っているよう。

来ました!鉄道ホビートレイン、さぁ乗りますよ。(務田駅)

「鉄道ホビー内のポスト」

平成29年に日本郵便四国支社とJR四国が提携したことを記念して設置された車内ポスト。ここへ投函すると、鉄道ホビートレインがデザインされたオリジナルの消印が押される。郵便局では一枚一枚手で押しているので、年賀状などの大量投函はできないものの、手紙や絵はがきなどを近くの郵便局で購入し、大切な人へ旅の思い出を綴って投函するのもおすすめ。

この新幹線プレートほしいー

 30分ほどで松丸駅に到着。私たちはここで下車して列車をホームで見送ることにしました。ここで立花ディレクターは再びどつぼさんから録音マイクを取り出すようにと指示されています。すると今度は・・・「ファーーーーーン!!」とホームいっぱいに鳴り響く警笛音。なんとこの警笛の音は、本物の0系新幹線と同じ音なんだそうです。立花ディレクターはしっかりバッチリ録音完了!優しくて懐かしい警笛音に包まれ、私たちは心地よい満足感を感じていました。そうです、ついに「予土線3兄弟完全制覇」を達成しましたー!!やったー!!午後5時半、宇和島駅に戻ると、完全制覇のごほうびに、どつぼさんが用意してくれたのは、なんと「おとなのお子様ランチ」でした。新幹線プレートなつかしい!!レストランでは、昼でも夜でもこのメニューを味わえるそうです。

 ラジオでは、いつも岡田さんにリードされながらディープな鉄道トークを展開しているどつぼさんですが、今回はどつぼさんのリードで、かっぱにトロッコに新幹線と予土線のユニークな音と沿線のおいしい食がテンポよく展開されていきましたね。岡田さん、立花ディレクター、また来てね!オワリー。

「JRホテルクレメント宇和島 レストランシレ-ヌ」

〒798-0034宇和島市錦町10-1(JR宇和島駅直結)
電話 0895-23-6133  営業時間 7:00~21:00(20:30ラストオーダー)

朝食、ランチ、コースディナーまで気軽に利用できるJR宇和島駅直結のレストラン。予土線と予讃線の乗り換え時間にカフェメニューも楽しめる。新幹線プレートで登場する「お子様ランチ」は、11:00~20:00までオーダーできる。食後のお会計の際には、予土線3兄弟のオリジナル缶バッチももれなくついてくることから、予土線の旅の思い出といっしょに味わうのもおすすめ。

今回の旅スケジュールはこちら

  • 09:39
    宇和島駅から次男「かっぱうようよ号」に乗車
  • 10:45
    江川崎駅に到着 かっぱの鳴き声を聞く→道の駅「よって西土佐」でランチ
  • 12:53
    江川崎駅から長男「しまんトロッコ」に乗車→半家駅を通過
  • 13:47
    土佐大正駅で下車
  • 13:48
    土佐大正駅から宇和島方面へ
  • 15:18
    務田駅に到着 ベンチでまったり
  • 15:52
    務田駅から3男「鉄道ホビートレイン」に乗車
  • 16:23
    松丸駅に到着 新幹線の警笛を聞く
  • 16:36
    松丸駅から宇和島方面へ
  • 17:24
    宇和島駅に到着 →ホテルクレメントのレストランで「おとなのお子様ランチ」
ラジオまどんな
NHKラジオ第一(月~木)
午後5時5分から放送中!

「予土線スペシャル」の放送のようすと岡田キャスターのブログは、こちらから見ることができます。