たかがコロッケ、されどコロッケ!予土線沿線に潜む名物コロッケを食べ歩く。
「コロッケ」。それは庶民的であり、かつ愛すべき日本の揚げ物文化の頂点に君臨する存在・・・とまではいかないけれど、手軽に小腹を満たしてくれる身近な存在には違いありません。というわけで、今回の旅の主役は「コロッケ」です。沿線のコロッケを訪ねて、予土線で旅に出ました!
女子プロメンバーといっしょに“新幹線”に乗ってコロッケを食べ尽くすのだ~!!
今回の旅は、四万十市で女子目線の地域の魅力を発信するという「四万十女子行政プロジェクトチーム」こと通称「女子プロ」のメンバーが同行してくださることになりました。強そうなネーミングですが、普段は役所でそれぞれの課で職務に励み、日々地元のいいところ探しに余念のないしっかり者の女性たちです。
女子プロメンバーといっしょに“新幹線”に乗って
コロッケを食べ尽くすのだ~!!
沿線に潜むコロッケたちを求めて、いざ出陣!!どうせなら予土線全線を乗り尽くそうと、わたしたちは午前9時、窪川駅からスタートすることにしました。さっそく1件目です。創業57年の「水口天ぷら店」。駅から歩くこと1分。停車時間でも立ち寄れちゃうほどの近さも魅力的なこちらのお店は、目立つ赤いビニール看板が目印。近づけば香ばしい揚げ油の香りが漂ってくるではありませんか。「いらっしゃい」と笑顔で迎えてくれました。開店まもないというのに、ガラスケースの中はコロッケの山。こちらのコロッケは、なんと1個70円!揚げたてを食べることができました。かりっと揚がった細かいパン粉に包まれたほくほくのじゃがいもは、やさしい家庭的な味わいです。さらに見逃せないのは、隣に並んでいるエビフライとイカ天の山。女子プロメンバーも思わず目を奪われたようで、「エビフライ気になる・・」。コロッケに負けないその誘惑たるや!聞けば、地元の人たちも晩ご飯の一品に買いに来るんだとか。そりゃそうだ、キャベツさえ切れば立派なミックスフライ定食ができあがるもの!でもきょうはコロッケ巡りだから!と言い聞かせて、コロッケだけを買っていこうとしたものの、やっぱりエビフライもイカ天もはずせない!と興奮気味で財布からお金を出していると、おかみさん、「はい、これ列車の中で食べて」といも天までサービスしてくださいました。うは~、スタートからコロッケだけにほくほくです!
1件目のコロッケ、ゲット!!食べやすいよう、
一つ一つ小分けの袋に入れてくれました。
さくさくの細かい衣がほくほくの
じゃがいもを包みこんだ絶品コロッケ。
「水口天ぷら店」
〒786-0012高知県高岡郡四万十町北琴平町2-40
電話 0880-22-3457
営業時間 9:00~18:00(日曜定休)
窪川駅から、「予土線の新幹線」こと「鉄道ホビートレイン」に乗り込み、いも天とコロッケをもぐもぐ食べながら2件目のコロッケを目指します。江川崎駅から歩いて10分の「スーパー横山」です。ここは絶対に外せないコロッケがあるのです。というのも、精肉店直営のスーパーなのですが、住民の生活を支えるだけでなく、年間50頭しか飼育されていないという貴重な”四万十牛“を販売しているのです。前々回の旅でも、四万十牛丼を紹介しましたが、スーパーではお弁当やお総菜も販売しています。そこに並ぶのが「四万十牛メンチカツ」と「四万十牛コロッケ」です。女子プロメンバーも店内に入るやいなや、「なんかなつかしい雰囲気ですね」と昭和レトロ満載のスーパーのとりこ。メンバーの芝さんは、実家が江川崎ということで、ここでよく買い物をしていたんだとか。正月や盆休みなど、家族が集まる時期になると、地元の人たちは奮発して四万十牛を買いにやってくるんだそうで、地元に密着した生活感あふれるスーパーです。
本物の「0系」シートでコロッケといも天をむしゃむしゃ。
ご機嫌な女子旅。
この日の食事はコロッケだけというのになんだか楽しい。
江川崎駅では、
予土線名物「ホビートレインそろい踏み」。
メンチカツとコロッケを手に
「はい、チーズ」!
そのぬくもりがまた食欲をそそります。
「スーパーヨコヤマ(横山精肉店)」
〒787-1601高知県四万十市西土佐江川崎2570-2
電話 0880-52-1229
営業時間 8:00~19:00(正月3が日のみ休み)
ちょうど昼時ということで、コロッケとメンチカツを手に、近くの道の駅「よって西土佐」の2階のフードスペースへ向かいました。なんとここでも季節限定のコロッケを発見してしまいました。その名も「原木しいたけコロッケ」。この道の駅では、旬の素材を使ったコロッケが登場するそうで、他にも鮎コロッケやツガニコロッケもあるんだそうです。さらに、道の駅の売り場ではイタリアンワインも絶賛販売中ではないですか!これは、もうコロッケに合う(?)というワインを飲むしかないでしょう。下戸のわたし以外、女子プロのみなさんは、お酒に強いご様子。・・・じゃ、飲みましょう!赤のスパークリングワインをグラスに注いで・・カンパーイ!!道中、お酒をたしなめるのが鉄道旅のいいところ。おつまみはコロッケでしたが、すべておいしくいただきました。
道の駅で気軽に購入できるワイン
「メディチ・エルメーテ」。
コロッケを背景に撮影しても、おしゃれな赤ワイン。
シュワシュワのスパークリングが◎。
コロッケに乾杯!
4人で1本開けてしまいました。
「道の駅よって西土佐」
〒787-1601四万十市西土佐江川崎2410-3
電話 0880-52-1398 営業時間 7:30~18:00(3~11月は無休、12~2月は火曜定休)
冬の青空と黄色の車両。
この日は、トロッコを外して運用されていました。
車窓には四万十川。
思わず身を乗り出して景色を眺めてしまいます。
続いて3件目は、十川駅から歩くこと5分。「東精肉店」です。「うちは、ことしで50年ここで精肉店をしよるきね」と元気いっぱいのおかみさんです。精肉店といえば、おなじみのコロッケ・・・とはいえ、評判を聞いてやってきたものの、店頭のどこを見渡してもコロッケの文字はありません。おかみさんいわく、「三山ひろしがぷらっと来てね、食べてくれたがよ」とのこと。どうやら地元の人たちは当然のようにそのコロッケの存在を知っているのですね。おかみさん自慢のコロッケを注文し、揚げたてを食べさせてもらうことに。「15分ほど待ちよって」と、わたしたちがガラスケースのおいしそうなお肉たちとにらめっこしている間にも常連さんが次々とやってきます。コロッケは冷凍したままでも販売してくれるそうで、ここの息子さんの高校にも300個のコロッケを差し入れたりもするんだそうです。もうすでに4個のコロッケを食べているにもかかわらず、揚げたてのコロッケに思わずお店の前でパクリ。さくさくの衣に、じゅわっととろける食感。これまた肉の味がじゃがいもに負けておらず、「すきやき」を食べているかのような濃いめの味付けがたまりません。女子プロのメンバーの田中さんも「コロッケって店ごとに味が違っててなんか楽しいですね」とすっかりコロッケ巡りにはまってきたようすです。
店頭にあるかわいらしい牛さんと豚さん。
どの部位かよくわかるイラストがいい。
揚げ立てをすぐに食べたくて、店の前でパクリ。
この手軽さがコロッケの良さ。
「東(ひがし)精肉店」
〒786-0504高知県高岡郡四万十町十川224
電話 0880-28-5086
営業時間 8:30~19:00(日曜のみ18時まで)
のどかな田園風景を走る
かっぱうようよ号で愛媛県に向かいます。
4件目、ついに愛媛県に突入です。近永駅から歩いて5分の「中央鮮魚」です。その名の通り、ここは魚屋さんでは??と思うでしょう。しかし、この日は水曜日。そうこのお店では、毎週水曜日はコロッケの日なのです。町役場も近いことから、この店は昼休みの時間にお弁当や寿司などを狙って役場職員さんがよく利用しているんだそう。わたしも時々立ち寄るのですが、そのときに出会ったコロッケのおいしさが忘れられず、ぜひ紹介したいと思い、今回やってきました。こちらのコロッケ、なんといってもその重量感。まるでじゃがいもそのもののようなころころしたコロッケなんです。いざ、かぶりつき!「甘い!」と女子プロのメンバーは声をそろえました。そうなのです、ここのコロッケはこの甘みが特徴なんです。時計を見ると、ちょうど3時。おやつ感覚でぺろっと食べてしまうその甘みがやみつきになりそうなコロッケでした。
鮮魚店のコロッケは、愛媛ならではの
甘めの味付けでやみつきになるのです。
4件目、ついに愛媛県に突入です。近永駅から歩いて5分の「中央鮮魚」です。その名の通り、ここは魚屋さんでは??と思うでしょう。しかし、この日は水曜日。そうこのお店では、毎週水曜日はコロッケの日なのです。町役場も近いことから、この店は昼休みの時間にお弁当や寿司などを狙って役場職員さんがよく利用しているんだそう。わたしも時々立ち寄るのですが、そのときに出会ったコロッケのおいしさが忘れられず、ぜひ紹介したいと思い、今回やってきました。こちらのコロッケ、なんといってもその重量感。まるでじゃがいもそのもののようなころころしたコロッケなんです。いざ、かぶりつき!「甘い!」と女子プロのメンバーは声をそろえました。そうなのです、ここのコロッケはこの甘みが特徴なんです。時計を見ると、ちょうど3時。おやつ感覚でぺろっと食べてしまうその甘みがやみつきになりそうなコロッケでした。
「中央鮮魚店」
〒798-1300愛媛県北宇和郡鬼北町大字近永1184
電話 0895-45-0162
営業時間 8:00~18:00(土日祝休み)
予土線の終着地、宇和島駅に到着です。宇和島といえば、日本一の真珠の産地。5件目は、その真珠に関係するコロッケです。宇和島駅から歩くこと15分、道の駅「きさいや広場」にやってきました。この道の駅にテナントとして入っているのが「あこやひめ」という漁協の女性たちが運営するお店です。真珠の養殖には二枚貝の「アコヤガイ」を使います。貝から真珠を取り出すとき、その貝柱を食用として取り分けます。いわば、真珠の副産物。一つの貝に、一つの貝柱。そのおいしさといったら!この店では、その貝柱が入った「パールコロッケ」をいただきます。とろとろのじゃがいもと貝柱、おいしくないわけがありません。「初めて食べました、アコヤガイの貝柱。おいしい」と女子プロメンバーにも好評です。真珠養殖の産地だからこそ食べられる一品なんですよ。このコロッケ、同行していた課長補佐が持ち帰って食べたところ、「冷めるとなおこの貝柱のうまみを感じました。奥が深いですね~」とのこと。冷めても尚うまみを増す貝柱入りのコロッケでした。
ついに終着の宇和島駅にやってきました。
残すところ、目指すコロッケはあと1つ!?
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道の駅で販売しているアコヤガイの貝柱。
おおっと高級品!! -
小ぶりなパールコロッケは
すぐに揚がるとのことでこちらも揚げ立て。
初めてのアコヤガイ入りコロッケ。
女子プロの反応はいかに。
「あこやひめ」(道の駅きさいや広場内)
〒798-0006愛媛県宇和島市弁天町1丁目318-16
電話 0895-25-2502 営業時間 9:00~18:00
夜もとっぷり更けたので、そろそろ四万十へ・・といいつつ向かったのは、「居酒屋 四万十」。いやいや、まだまだ帰しませんよ!この居酒屋は宇和島市内にあるのですが、大将が四万十市出身ということで、店名もずばり「四万十」なのです。四万十の旬の食材はもちろん、宇和島の市場で毎日大将の目利きで仕入れる魚もおいしくいただける名店ですが、わたしは知っていたのです。毎年、この時期に大将の元に北海道のおいしいじゃがいもが届き、それをコロッケにしていることを!!ここで紹介しておいて、なあんだ食べられないのか・・と思わせてしまうことが申し訳ないのですが、どうしてもここのコロッケを女子プロのみなさんに食べてほしかったんです。引率してくれた四万十市役所の課長補佐浜田さんにも、女子プロのリーダーの宮川さんにも、カメラマンの坪内さんにも食べてほしかったんです!!もうこれが本当のラストコロッケです。ででーん!!てんこもりのコロッケが登場しました。一つは100%じゃがいも、そしてもう一つはカニ入りです。じゃがいものおいしさを衣で包んだだけの北海道の壮大な大地の恵みを感じながら、ぱくぱくとわたしは4つも食べてしまっていました。気がつけば、テーブルにあった20個ほどのコロッケは、あっという間に平らげられていました。女子プロメンバーの宮脇さんも「普段こんなに揚げ物食べないんですけど、結局全部おいしくいただいちゃいましたね」と、1日で食べた7種類のコロッケを思い返していました。
そして、「沿線にこんなに個性豊かなコロッケがあるなんて」「車では見られない景色もよかったし、友達とまた予土線でコロッケ巡りしてみようかな」「学生のころに乗っていただけでは気付かなかった予土線の楽しみ方を発見できた」など、女子プロメンバーは改めてこの旅を振り返って楽しそうに話してくれました。1日にこれだけコロッケを食べた日は、そうはないでしょう。素朴でおいしいコロッケ文化、バンザイ!!一つとして同じ味はなく、作り手の暖かさが心に残る予土線コロッケの旅でした。
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大将特製の北海道じゃがいもコロッケは季節限定。
かに入りも作ってくれました。 -
みんなで記念撮影。
大将、ご協力ありがとうございました!!
「居酒屋四万十」
〒798-0060愛媛県宇和島市丸之内1-1-32
電話 0895-22-7739
営業時間 17:00~0:00(日曜定休)
今回食べた―コロッケ大集合!
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- コロッケ1
- 水口天ぷら店
小ぶりながらも、素朴で懐かしい「ザ・コロッケ」!!安さについついもう1個。
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- コロッケ2
- スーパーヨコヤマ(横山精肉店)
じゅわっと広がる肉のうまみ。メンチカツは「ハンバーグをまるごと揚げた」ような肉感。
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- コロッケ3
- 東精肉店
「三山ひろし」が食べたという自慢のコロッケ。肉を感じる濃厚な味付けがたまらない。
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- コロッケ4
- よって西土佐
原木しいたけは、じゃがいものことを忘れるほどの存在感。香りがふわ~っと広がります。
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- コロッケ5
- 中央鮮魚
見よ、この断面。ころころしたコロッケは甘みがあって冷めるとますますおやつみたい。
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- コロッケ6
- あこやひめ
とろとろのじゃがいもの中に、歯ごたえのある貝柱。こちらも冷めるとうまみがアップ。
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- コロッケ7
- 居酒屋四万十
年明け限定の大将特製「北海道コロッケ」。素材の味そのままの大ぶりなコロッケ。