2018.08.09 UP

天然ウナギはジゴクにあり!

予土線が誇る夏の味覚といえば、なんといっても天然ウナギではないだろうか。この沿線において、これほどに贅沢な夏の味覚は考えられない。四万十川やその支流の広見川では、梅雨の時期から秋の終わり頃まで川に漁師が罠を仕掛けて、天然のウナギを狙う。罠もいろいろあれど、天然ウナギといえば「ジゴク漁」である。

まず70センチほどの木製の筒の中にミミズを入れる。この筒をジゴクというのだが、ミミズのにおいに釣られて筒の中にウナギが入ろうものなら、入った先は行き止まり、入り口には「返し」がついているため、いったん入るともう二度と出ることができない。そうまさにウナギにとって地獄なのである。

人間にとってはウナギを食べるというのはテンゴクともいえるほど、至福の楽しみであるが、このジゴクにかかってはウナギも観念するしかない。川漁師さんは、夕方になると、ウナギの通り道となる石と石の間などにジゴクを仕掛け、翌朝引き上げにいく。かごに移してしばらく泥を吐かせて、そしてさばいていただきます、である。

一口食べると、なんとも甘い脂がじゅわっ。ふんわりとした白身は、一度味わったらもう虜である。養殖とはひと味違う天然ウナギは、「俺たち荒れ狂う大海原も、激流の大河も経験してるんだぜ」といわんばかりの筋肉質な食べ応えなのだ。

そのウナギ、いったいどこで食べることができるのよ!?とよく聞かれるのだが、愛媛県では松野町に一軒のみ残るお食事処のほかには、常時食べられるところはあまりない。多くのウナギは、地元の漁師たちが近所の人や個人経営の飲食店などに売買していて、市場に出回ることはほとんどないのである。

去年の夏は2度も天然ウナギを食べた。テレビと雑誌の取材で訪れたのは、真土駅から徒歩3分、同級生のお父さんとお母さんが運営している一日一組限定の農家民宿。宿泊すると、夕食のメインディッシュは天然ウナギを提供してくれるという。

さらに希望すると、ウナギ漁の体験もできるというので、さっそく、川に行く。お父さんが使っているジゴクは、コケがついてまるで流木のようないでたち。川の中に入れると同化してしまうほど。ウナギめ、完全にだまされるにちがいない。ふはは!!川から上がり、その日の晩はお父さんがとっておいてくれたウナギを味わった。翌朝、私が仕掛けたジゴクには、わしゃわしゃとせわしなく動くテナガエビが一匹入っていただけでしたとさ。

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