- 2018.09.21 UP
「どつぼさんは私の師匠なのだ!」
そもそもの出会いは、『四国在住のプロの鉄道カメラマンが、予土線を活性化するために「撮り鉄」スポットを紹介する小冊子の制作に関わっている』というのを聞いたのが始まりだ。その小冊子こそが、高知県予土線利用促進対策協議会が製作・無料配布した鉄道ファン生唾ものの「よどせん とりてつマップ」で、それを執筆した鉄道カメラマンこそ゛どつぼさん゛こと坪内政美さんだった。ローカル記者として働く私は、地域の出来事を取材するのが仕事なのだが、「なんだかおもしろそうだぞ」という好奇心がここぞとばかりにうずいた。
取材当日、どつぼさんは、ダークスーツに身を包み、ネイビーブルーのセダンに乗って現れ、バズーカ砲みたいなカメラを持って現れた。どうみてもカメラマンには見えない!なんだこのあやしい出で立ちの男は!!!正体を探るべく、この日は、「とりてつマップ」用に撮り下ろす写真の撮影をしているようすを密着取材。驚いたことにどつぼさんは鉄道ダイヤはもちろん、予土線の地図がすべて頭に入っているのだ。時間も場所もピンポイントで狙い撃ち、瞬く間に枚数を重ねていくのだ。撮影ポイント間の移動も無駄なく、インタビューに応じ、そして列車が来れば、脚立代わりに車の屋根に上ってパシャパシャ。北へ南へ東へ西へ、細いくねくね道を通って絶景の撮影スポットへ。さらには、地元の人御用達の「スーパー横山」で四万十牛丼を食べることも忘れない。さぞや何度も通っていたのだろうと、聞けばなんと、どつぼさんは遠く香川県高松市在住でありながら、子どもの頃からママチャリで予土線まで足を運んでは、お母さんのフィルムカメラで撮影していたというのだ。キャリアは30年以上、この路線を撮影し続けているのだ。すごいぜ、どつぼさん!
取材を終え、後日、全国放送のニュースで「よどせん とりてつマップ」制作のようすを放送させてもらった。そのあとも、鉄道のことなら何でもどつぼさんに教えをこい、挙げ句の果てに、鉄道番組にも出演してもらうなど、いまだ付き合いが続く。そしていつの間にか、こうして予土線コラムまで書かせてもらっているが、何かにつけ頼っている。そう、鉄道に関する取材についてはすっかり「師匠」である。予土線だけでなく、地域報道に欠かせない鉄道のニュースでも、私がへっぽこな取材をしていると、普段は穏やかなどつぼさんが豹変し、思いっきり喝を入れるだけでなく、どこからともなく(遠くからでも)撮影現場に駆けつけてくれるのである。怪しい出で立ちは変わらないものの、おかげさまで、いつもディープですてきな鉄道風景を撮影できています。ありがとう、どつぼ師匠。